賃貸住宅から引っ越す際、借主として最も心配になるのが敷金トラブルです。キレイに使ったつもりでもよく見てみると部屋のあちこちに汚れやキズがありとても気になるものです。特に壁クロスの汚れや引っ掻き傷などは、どんな家庭でも日常生活をしていれば起こりうる問題です。

預けている敷金では足りなくて余計に支払うことになるかもしれないと不安になり、自分でクロスの貼り替えをしてみようと思っている方も多いのではないでしょうか。また、事前にいくら位かかるのか工事業者に見積もりを取っておこうと考えている方もいるかもしれません。

借主自身が貼り替えたり、工事業者に依頼してしまうと後々思わぬトラブルにつながることもあります。まずは、正しい原状回復の費用負担の知識を持つことがとても大切です。

勝手に修繕するとあとから大変なことに。。。

契約書には、たいてい借主の修繕行為に対し禁止または制限をする項目があります。禁止される行為として、例えば増築や改築、改造や工作物の設置などです。当然のことながら、クロスの貼り替えは改造行為に含まれてしまう可能性があります。契約書や重要事項説明書などは難しい専門用語で書かれていて理解できないことも多いので、自分で判断せず弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談しましょう!

敷金診断士の事前診断を利用しよう!

事前(明渡しの前)にお部屋内を確認したうえで、国土交通省のガイドラインに基づき原状回復費用の負担割合の程度を診断するサービスを行なっている敷金診断士がいます。多くの場合、無料で行っていますので心配な方は依頼してみましょう。近くに敷金診断士がいない方は、日本敷金診断士協会のホームページから敷金診断士を探して問い合わせてみましょう。

ガイドラインで基礎知識を習得しておこう!

全国で敷金返還をめぐるトラブルが多いことから、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)を公表しています。このガイドラインには、契約や退去の際に借主や貸主があらかじめ理解しておかなければならない基本的なルールなどをまとめたものです。このガイドラインを読めば大体のことは理解できます。わからないことはインターネットで少し調べれば多くの記事が出ていますので検索してみましょう!

敷金診断士に相談するときには、ガイドラインを見ながら相談するとより理解が深まります。知識を身に着けることで不安を払拭することもあります。

居住年数が長い方の方が負担割合は少ない!

居住年数が長ければ長いほど「経年劣化」や「自然損耗」はすすみます。居住年数が長いほど家賃でその分を負担していますので負担割合が少なく済みます。最新のガイドライン(平成23年8月公表)では、壁クロスの場合「6年で残存価値は1円」との基準を公表しています。要するに1年ごとに約16.6%づつ借主の負担割合が減っていく計算となります。

「わざと」「うっかり」のキズや汚れ以外は負担ナシ!

故意や過失でのキズや汚れ以外は「経年劣化」や「自然損耗」となりますので負担義務はありません。ただ、どこまでが 「経年劣化」や「自然損耗」なのかの判断が貸主と借主で見解が異なることからトラブルになっています。

まとめ

部屋によってクロスの状況はさまざまなので、現場を見たうえで診断してもらうことが最善策です。貸主より借主は知識や経験が少ないことから、貸主の言いなりになって泣き寝入りしてしまうことが多いのが現状です。敷金診断士は敷金返還問題の専門家ですので、一人で悩まず相談してみましょう!

最近では、引越し会社も敷金診断士と提携して敷金相談サービスを提供しています。引越し費用も考慮してお値打ちなところを探してみましょう!