壁(クロス)の損耗のケース【2】

前回、壁(クロス・じゅらく)の損耗のケース【1】で不足していたケースです。

1)タバコ等のヤニ・臭い → 借主負担が妥当
平成23年に国土交通省ガイドラインの再改訂版が発行されるまでは、喫煙自体は通常の使用の範囲で、特約で禁止されていなければ用法違反ではないと考えられ貸主負担が妥当とされていました。
しかし、近年喫煙者数が減少していることや喫煙に関する捉え方が考慮され、上記ガイドラインにも通常使用による汚損を超えるものとして借主負担が妥当であると記されています。
タバコ等のヤニ・臭いは、退去時にトラブルになることが多いため、最近では契約書に「禁煙」とする物件も多くなってきているようです。

2)エアコン(借主取付)から水漏れし、放置したため壁が腐食 → 借主負担が妥当
エアコンの保守は所有者(この場合借主)が実施すべきであり、それを怠った結果、壁等を腐食させた場合には、善管注意義務違反と判断され借主負担が妥当です。

3)エアコン(貸主取付)から水漏れし、借主が放置したため壁が腐食 → 借主負担が妥当
この場合、エアコンの保守は所有者(この場合貸主)が実施すべきものですが、借主が水漏れを放置したり、その後の手入れを怠った場合は、通常の使用による損耗を超えると判断され、借主負担が妥当です。

4)結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ → 借主負担が妥当
結露は建物の構造上の問題であることが多いが、借主が結露が発生しているにもかかわらず、貸主に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断され、借主負担とする。

壁(クロス)の損耗のケース【3】に続く

原状回復の補修単位や費用などは、また改めてまとめたいと思います。